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ハイハイ未獲得であった患児#神戸市#小児#訪問看護
重症心身障害児・者病棟で勤務していた頃、ハイハイ未獲得の3歳の患児を担当しました。
介入当初その子はハイハイ未獲得の状況でしたが、つかまり立ちと伝い歩きが可能といった具合に運動発達に偏りがある状況でした。
その子が生まれ育った生活環境を確認すると、生まれた時から病院の高柵ベッドの中で育ったこと、そもそもハイハイをする機会がない、
むしろハイハイをする必要のない環境で育ったということが分かりました。
そこで病棟の看護師さんに協力してもらい、日中は高柵ベッドではない広い部屋で過ごしてもらいました。
能動的な移動機会を作るために、おもちゃの置く場所等を工夫し、遊ぶためには移動する必要が生じる環境に設定しました。
開始当初はずり這いで移動していましたが、次第に遊びの中で効率の良い移動方法へ転換していき、2ヶ月後にはハイハイが自然と出来るようになりました。
ハイハイ動作は体幹機能、股関節機能を高める上で大切な動作になります。特に、独歩や独り立ち獲得においては体幹、股関節周囲の運動機能発達は重要になります。
ハイハイ獲得後、次に課題になったのが独り立ちからの独歩でした。
その時点では伝い歩きはできるが、柵から手を離せない。強制的に離すと怖がりかがみ込んでしまうような状況でした。
そこで、看護師さんやリハビリスタッフ見守りのもと転ぶ練習を開始しました。
転倒することはタブーな病院環境で、安全に配慮しながら転ぶ機会を繰り返し作ることで、数ヶ月後には柵から手を離し独保での移動が可能となりました。
運動発達遅滞とは病気が原因で生じる部分だけではなく、その子が過ごす環境の要因により運動発達の遅れを助長することがあります。
その子が育った環境に関する情報収集を行い、適切な環境設定を行うことが大切になります。
特に訪問看護における関わりにおいては、訪問回数・時間の制限から直接的に関わる頻度が限られてしまいます。専門職が訪問時に直接的に働きかけなければいけないことに加えて、得られたアセスメント情報を環境に落とし込むことが大切になります。