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環境が与える運動発達への影響#神戸市#訪問看護#小児
病院勤務時代にある患児を受け持ちました
その患児は生まれつき病気を抱えており、出会ったのは2歳頃。生まれてからほぼほぼ病院環境で育ってきた子供でした
病院環境と言っても、治療が優先されていたため日中の大半を高柵ベッド内で過ごし、食事の時だけ車椅子に座るといった状況でした。
介入段階より運動発達の遅れを認めました。独歩、ハイハイは不可能。かろうじてずり這いが可能。一方で高柵ベッドを把持したつかまり立ちや、高作ベッドを使用しての伝い歩きが可能な状態でした。
一般的にその疾患では軽度の運動発達地帯は生じると言われていますが、大半の子は独歩が可能なケースが多く、この子が過ごしてきた病院環境(高柵ベッド内での生活)が運動発達に何かしらの影響を与えているのではないかと考えました。
そもそも移動しなくて良い環境
介入時ハイハイ未獲得な状況でしたが、この患児が育った環境は高柵ベッド内。つまりダイナミックな移動を必要としない環境で育ったので、そもそもハイハイをする必要が無かったのではないかと考えました。ハイハイは体幹機能の発達を促す上で有効な運動方法でもあります。同時に独保獲得には体幹機能の発達が必要不可欠であると考え、まずはハイハイの獲得を目指しました。
1日1時間広い部屋で過ごす
空いている病室が一部屋あったので1日最低1時間その部屋で患児に過ごしてもらいました。
おもちゃをなるべく部屋の四隅にセッティングし、遊ぶために移動する必要が生じる環境に工夫しました。開始当初はずり這いで移動していましたが、次第に移動効率の良いハイハイにチャレンジするようになっていきました。
数ヶ月後には、ハイハイでの移動が可能となりました
転ぶ経験不足による影響
安全第一の病院環境では転ぶ機会が不足します。伝い歩きの状態から考えても、独歩ができてもおかしくない状態であったのですが、高柵ベッドから強制的に手を離すと怖がりかがみ込んでしまう状態でした。転倒の経験を積むことで柵から手を離す恐怖心が軽減されるのではないかと考え、安全な環境を設定した上でセラピストが介入する際に積極的に転ぶ経験を促しました。
数ヶ月後には5m程度の独歩が可能となりました
環境が運動発達に与える影響
運動発達の遅れに対して発達を促す介入を行う際には、介入時点の運動発達状況を十分にアセスメントすることは大切です。同時に運動発達の遅れについては疾患による影響だけではなく、環境が運動発達に与える影響も十分考慮する必要があると感じた1症例でした