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在宅でのパーキンソン病の転倒と骨折
パーキンソン病は症状の進行に伴って転倒頻度が増加します。転倒時に生じやすい痛みや骨折はパーキンソン病患者にとってADLを大きく低下させる要因になります。
骨折後の安静期間と術後の疼痛
骨折〜手術までの安静期間や、術後の荷重制限、痛みの影響により動ける量が極端に少なくなってしまいます。パーキンソン病患者にとってこの安静期間に生じる廃用症候群はかなり影響力があり、「さあ手術も終わったし今日から積極的にリハビリで力をつけていきましょう」という具合にはいきません。またパーキンソンの症状である姿勢反射障害等がある場合には、術後の患側脚をかばう能力も十分に発揮できないため荷重が加わるような立位動作や歩行の再獲得にはかなりの時間がかかってしまいます。結果的に動けない期間が通常の骨折よりも長くなってしまうんです。
無事退院したが再転倒
入院し数ヶ月間かけてリハビリテーション室内で運動を行い歩けるようになったので無事退院したが、退院当日から自宅内で転倒を繰り返し再骨折で入院というパターンも少なくありません。要因は色々あるのですが、病院と在宅の環境の違い(人的・物的)の影響を大きく受けます。
・自宅は病院環境と違い空間が狭くなるため、小さな小回りをする必要がある
・毎日運動していたが、帰ってからは極端に運動機会が減った
・靴を履いてリハビリしていたが、自宅内では靴下、スリッパで歩いている
・硬い床を歩いていたが、退院後は畳の上で歩く必要がある
・歩く練習をしっかりしていたが、物を持ちながら歩く必要がる
これらは実際に退院後に転倒を繰り返すパーキンソン病患者の転倒対策時に生じていた問題の一部です。他にも、病院環境と自宅環境では環境が大きく変わることがほとんどです。
つまりパーキンソン病患者にとって転倒後の骨折は、たとえそれが回復したとしても次の転倒のきっかけになってしまうことが多いんです。
転倒予防
私たちパーキンソン病特化支援チームではこれらの転倒を予防するために様々な取り組みをしています。実際に転倒原因を絞り込めると高い確率で転倒頻度は減少することを多く経験してきました。転倒対策にはいろいろな方法があるのでまたそれらの方法はブログでアップさせていただきます。
方法とは別に、転倒しやすいタイミングで適切にサービスが導入されているかも重要です。特にパーキンソン病患者では退院直後や引っ越し後等の環境の変化が生じたタイミングで転倒頻度が増加します。他にも、OnOff症状が強くなるタイミング、つまり病状が進行し症状が不安定になる(日内変動が顕著に目立ち始める)タイミングでも転倒頻度が増加します。その転倒頻度が増加するタイミングで適切にサービスを導入することがパーキンソン病の在宅での転倒を予防する上で重要になります